今そこにある危機
先日、部屋の片づけをしていたら、「モリゾーとキッコロ」の携帯ストラップが出てきた。
環境をテーマにした「愛・地球博」のキャラクターで、大きくてモップみたいのがモリゾー、小さくてわたぼこりみたいなのがキッコロだ。彼らの生態については良く知らないが、どうやら木の妖精という設定らしい。 モリゾーとキッコロ・・・。 モリゾーとキッコロ・・・。 森ゾーと木ッコロ・・・。 森憎と木っ殺・・・。 ・・・・怖っ!! と、漢字にすると妖精というイメージからは掛け離れ、目に付く植物を片っ端からなぎ倒して行きそうな、その目付きもいかにも何か悪巧みをしていそうに見えてくる。キッコロの純真無垢を装った表情は、知能犯の様相を呈しているし、モリゾーはさしずめ実行犯といったところだろう、でお馴染みの例のアレだ。 万博内の各国のパビリオンはそれぞれの国を代表する建築家やアーティストが設計やプロデュースを手掛けていて、「ふ~ん・・・」としか感想の言いようがない冷凍マンモスなんかよりも、自国の文化や価値観を空間に落とし込んで表現したインスタレーション的なパビリオン建築そのものに興味があった。 日本館は11ものサステナブル技術が織り込まれていて、近い将来、建築に対し新しい可能性が見出せるように、パビリオン全体で環境実験が行われていた。今後活用されるであろう様々な環境技術の集積した原寸大モデルである。屋根は竹を組んで作った軽快なもので、その隙間から日差しが降り注ぎ、心地いい影日向を作っている。どこまでが内部でどこからが外部なのか。非常に曖昧な空間の規定の仕方は日本建築の持つ空間特性の一つである。 そんな「愛・地球博」だけど、僕は仕事が忙しかったのもあって行っていない。実はこの万博は計画段階から色々と問題があって、当時企画されていたものから内容や規模が大きく変更されている。その主な理由は「科学や技術のお国自慢は今の時代にそぐわない」とか「この地域にしか生息していない固有種の生態系を壊す」といった至極まっとうなもので、名のある建築家や有識者らが中心になって組織された会議で議論された。ちなみに、この「名のある建築家」に僕は含まれていない。どうでもいっか。 それで、理由は良く理解できるんだけど、 当時の計画案を知っているものとしてはやはり マイナーチェンジした感は否めず興味が薄れてしまって、 「まぁ、行かなくてもいっか。」ってなってしまった。 なので、このお土産は友人からもらったものだ。 僕はケータイのデザインに合う唯一絶対無二と思える ストラップが見つかるまではケータイには 何もつけないと決めている。 なのでご当地キティちゃんなんてのはもっての他だ。 ただ、ケータイにつけないだけで、 買ってきてくれるのは素直にすごくうれしいので 大切にしまってあった。 これを見ると「やっぱり行きたかったかなぁ」と少し思う。 だけど、今週末事務所のスタッフと建築ツアーに行くので、 今はそちらに頭がシフトしている。 建築ツアーといってもそんな仰々しいものではなくって、 普通の人が「紅葉狩り」をしたり 「温泉巡り」をしたりするのと一緒で、 要するに何か理由を見つけて遊びに行こう、 ということだ。 今週末に行くことは決まっているのに、 なにでどこに行くのかがまったく決まっていない状況に 危機感を覚えつつ、こんな日記を書いている。