とりあえず有罪

こんなにもホイホイと映像化して、その結果駄作ばかりを量産し続けるのはもうそろそろやめてほしい。トーエー、トーホー、ショーチクなどの大手製作会社はもっと作品本数を減らしてひとつひとつのクォリティを上げるべきだと思う。 邦画の話。映画を趣味にしていて、年に何百本も観るような人に比べたら及ばないけど、それでも年に相当な数の映画を観てると思う。ちなみにレンタルではほとんど観ない。邦画に限って言えば、去年の映画でよかったのは『フラガール』と『ゆれる』くらいだ。次いで『イヌゴエ』『暗いところで待ち合わせ』『時をかける少女』って感じかな。まぁまぁって思うものもいくつかあったけど、まぁまぁってのは鯔のつまりダメってことだ。 2006年は邦画の勢いがあった年だってことになってるらしいけど、それは単に興行的な話で作品の質とはあまり関係ない。去年は原作モノが多かったけど、せっかく原作が良くても安易に映画化なんかするもんだから、その作品の本質を欠いたものが多くて良質のコンテンツを次々に食いつぶしていくと言う最悪のパターンがあまりにも多かった。 『手紙』 『出口のない海』 『ゲド戦記』 『日本沈没』 『ラフ』 『ブレイブストーリー』 『デスノート』 『最終兵器彼女』 などなど、挙げればキリがないほど出てくる。そんな中、始まったばかりの2007年だけど、今年のベストムービーになるかもしれない映画に早くも出会ってしまった。周防正行監督の12年ぶりとなる新作『それでも僕はやってない』がそれだ。

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ある痴漢の冤罪事件を軸に日本の刑事裁判の問題点を痛切に描くことによって知らされる数々の衝撃的な事実。しかしそれは誰にでも起こりうることで、まさに明日は我が身だ。男である以上は誰に対してでも動機を指摘することができるし、証拠もこじつければ何とでもなる。つまり極端なことを言えば、また誤解を恐れずに言えば、女性が隣に乗り合わせた男性の腕を掴み「この人、痴漢です」って言えば、数ヵ月後にはその人に前科がついているってことが、かなりの高い確率で起こりうるのだ。 その確率はと言えば痴漢事件全体で言えば99.9%、犯行を否認している場合であったとしても97%。これは恐ろしい。おそらく監督の裁判制度に対する激しい怒りが込められているんだろうけど、悲壮感に捉われず、堅苦しさもなく、見事な娯楽映画として仕上られている為、2時間半と言う上映時間を全く感じさせない。 内容についても触れたいんだけどネタバレになるからやめておく。タイトルに使った言葉の意味は映画を観ないとわかんないと思うけどとても強烈な印象を受けた。 だから、どうしようもない映画ばっかり世に送り出して観客の映画を観る目が養われる機会を奪い、興行成績と内容が結びつかない状況を生み出し、結果的に自分達の首を締めていることにいつまで経っても気がつかない現在の邦画界は、とりあえず有罪。


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