作家性を無視してまで しなければならないこと
月曜日は客さんとの打ち合わせだったから土曜日はホント大変だった。予定を消化しないと帰れないのはわかってたから、とにかく死に物狂いで図面を描いた。終わらなかったら徹夜すればいいんだけど僕にはどうしてもその日のうちに終わらせないといけない理由があった。 先日オープンした「ららぽーと」でナイトショーを観る!! ってことで、なんとか仕事を終わらせてららぽーとに行った。 昼間は人でごった返してるはずのららぽーとだけど、さすがに日付が変わる頃になるとほとんど人がいない。同じように映画を観にきたと思われるお客さんはだいたい警備員の数と同じくらいだった。この感じって深夜の小学校に忍び込んだ時のような違和感と緊張感がある。警備員に促されるまま映画館に入ったんだけど、仕事が少し押したので観れる作品が『ステップアップ』か『口裂け女』しかなかった。当然『口裂け女』なんか観るわけないから『ステップアップ』を観た。
芸術学校のダンス科に通うお嬢様のノーラと車泥棒が生業で夜な夜なクラブに繰り出す不良のタイラー。かたや歴史と伝統に裏打ちされた形式的・様式的ともいえるクラシック・バレエ。かたや決まったスタイルを持たないストリート・ダンス。そんな正反対の2人がパートナーになる。 多少ダンスの心得がある僕としてはクラシックとストリートの融合ってのは、それほど斬新だとは思わないんだけど、それでもやっぱりダンスシーンは見入ってしまう。特に途中のクラブハウスでのダンスシーンはM.ジャクソンの『ムーンウォーカー』を初めて見たときのことを思い出した。 音楽もオーケストラとヒップホップの融合だったりする。音楽はどれもとてもカッコイイ。 ストーリーは取って付けた様で褒められたものじゃない。夢・挫折・裏切り・別れ・家族・仲間・進路などなど手広く広げすぎた為にどれも消化不良で中途半端だ。結局は予定調和にならざるを得ない。 ダンス映画だからその辺は大目に・・・という考え方もあるけど、『フットルース』、『フラッシュダンス』 『センター・ステージ』、『フォーム』『リトルダンサー』、『セイブ・ザ・ラスト・ダンス』など、ストーリーとダンスが見事に昇華した映画がすでに存在している以上、言い訳は出来ない。 一番引っかかるのがタイラーが何も努力してないトコ。彼は天性の才能の持ち主で、その才能によって困難を乗り切る。これでは感情移入は出来ない。ただ、このタイラー役のチャニングは役が決まるまではダンスの心得がなかったらしく、1からストリートダンスを覚えたそうだ。僕は鑑賞後にそれを知ったんだけど、てっきりストリートかどこかでスカウトしてきた役者なのかと思っていた。 劇中のタイラーよりもタイラー役のチェニングの方が何倍も努力してるってなんか滑稽だ。夕日をバックに踊るシーンはすごく綺麗だったし、最後のダンスシーンも良かったのでナイトショーの時間帯に観るには良かったかもしれない。