笑いと平和の捉え方
初の連日更新。と思ったらもう日付変わっちゃったけど。 連休二日目の今日はジムに行った後、時間があったので映画に行った。また映画の話かとお思いでしょうが近くに映画館があるのでしょうがない。 ◆1本目:『大日本人』◆
この映画をなんという言葉で表現していいものか未だにわからない。なぜなら言葉にしようとすればするほど、この映画の本来のあるべき姿から乖離していくような気がするからだ。だから内容については触れられないし、ただの感想になっちゃうけど、ひとつわかっていることは万人受けする映画では絶対にないってこと。 たぶん10人観たら6~7人が面白くないって思うか、頭の中が「?」マークでいっぱいになるはずだ。ただ、この映画を観ようと思った時点で、たぶんその人は監督の笑いをある程度理解してる人だと思うので、半分以上の人は面白いって思うのかもしれない。 自分がこの映画が受け入れられるタイプかどうかを示す指標がある。それは監督がこれまで撮ってきたコント作品だ。彼の近作である『visualbum』と初期作品の『頭頭』が好きな人なら間違いなく楽しめる。『一人ごっつ』と『松ごっつ』のコントが好きな人はたぶん楽しめる。 監督本人もどっかのインタビューで言ってたけど、この作品が映画と呼べるものなのかどうかもよくわからない。2時間程度の映像作品を作って、その公開の場がいまんとこ映画館しかないから「映画」というカテゴリーに分けられているだけのような気がする。 言葉の世界に押し込めようとすれば陳腐になってゆくような映画だけど、観た人同士でなら語れることは山ほどある。この映画が理解できるのか、自分を試す意味でも観に行った方がいい。そんな映画だ。 ◆2本目:『パッチギ LOVE&PEACE』◆
言わずと知れた前作『パッチギ』の続編。あらすじはもうめんどくさいので省略。 TVスポットなどでは家族愛を前面に押し出した感動作として売ってるけど、そんな甘っちょろいものではない。むしろ最近の「泣ける映画=いい映画」という風潮を嘲笑うかのような、心の底からくる切なさと居た堪れなさを伴う感動がある。「泣ける」という一側面だけを見れば前作の方が圧倒的に上だ。 あと主役のキョンジャ役に大抜擢された元YURIMARIの中村ゆりは凄く表情が豊かな女優さんで、言動が病んできて見ていて痛々しささえ漂う最近の沢尻エリカとのコントラストも相まってファンになってしまいそうな勢いだ。 この映画。色んなところで反日映画だと批判されてるけど、それはあまりにも表層的にしかこの映画のことが見れてない。この映画での朝鮮人の描き方を見れば反日映画どころか半在日朝鮮人映画だということがわかる。ただそれは監督がそういった歴史哲学を持っているからというよりも、単純に当時の状況や現状を客観的に比喩的に描いただけだと思う。他の監督なら周りの反応が恐ろしくて二の足を踏むような描写も、この監督は確固たる信念を持って描く。 それはこの監督が戦争は必要悪ではなく絶対悪であるという思いによるものだ。ここで描かれていることは過去(1974年)のことだけど伝えていることは未来への希望だ。 右だの左だの言う前に海外メディアからミリタリストとこき下ろされ、日本を法的に戦争が出来る国にする為に奔走する首相が納めるこの国において、一人の日本人として、一人の人間としてどう立ち振る舞えばいいのかを考えながら観て欲しい。