最近のオススメだったり、そうでもなかったり。

最近、映画や本のレビューを書いてないなぁ、と言うことでいくつかまとめて書きます。と言うかブログ自体あんまり書いてないんだけどね。 小説:『夜は短し歩けよ乙女』 小説に出てくる登場人物をどれだけ魅力的に描くことができるかと言うのは、作者が最も注力する部分の一つだと思うけど、この小説に出てくるキャラクターはみんな活き活きしてて気持ちいい。特に主人公の女の子。作中では「黒髪の乙女」としか外見の描写がないにもかかわらず、その仕草や行動をコミカルかつ詳細に描くことでこのキャラクターの魅力を最大限に引き出している。女性の方が読んでもいとおしく感じると思います。今まで何冊も本を読んできたけど、小説の中の人物に恋心を抱いたのは初めてではないだろうか・・・この小説の良さをうまく表現できないが、大げさに言うとこういうことになる。 この小説世界を理解する用語の一つに「おともだちパンチ」というのがある。拳を握ってつくるいわゆる鉄拳と違い、親指を4本の指でくるみ込むように握ることにより暴力の連鎖が断ち切られ世界に調和をもたらすと言う愛に満ちた彼女の奥の手だ。作中に何回か登場するこの「おともだちパンチ」のシーンはかなりのお気に入り。

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小説:『白銀ジャック』

ある日突然スキー場管理事務所に脅迫状が届く。人質はスキー客全員。目的や動機を知らされないまま、経営陣はスキー客の安全と営業利益との間で揺れ犯人の要求に翻弄される。

物語に引き込むリーダビリティはさすがだけど、結末のインパクトがなさ過ぎて読後感はイマイチ。東野圭吾の本はほとんど読んだけど、なんか片手間に書いたような印象。『麒麟の翼』に期待。

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映画:『告白』

全て登場人物の告白により物語が進行すると言う構成は原作を踏襲している。少年犯罪と被害者の親の心理をキレイ事を排除して描き、今までのこの手の映画が打ち破れなかった壁を見事に突破した作品。そこに偽善的態度は一切ないく、その素直さがいい。スローモーションや青みがかった映像処理、けれん味あふれるVFXなど監督の持ち味がうまく作用している。

原作とほぼ同じテンポで作られているので、原作のファンでも違和感なく見られる。なので映画から見ても問題ないという珍しい作品。

また、松たか子の代表作にして最高傑作、かつ『下妻物語』以来の中島監督の傑作でもある。松たか子の女優としての底力を見ることができる。日本語が読めれば誰でも出来るような演技を垂れ流す昨今のTVドラマに慣れた人には多少のショックを伴うかもしれない。

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小説:『サクリファイス』

近藤史恵の最高傑作。実は今回の日記で一番のオススメがコレ。自転車競技の世界が舞台。マイナースポーツを題材にすると、そのルールの説明にページが割かれてしまったり、説明的な文章が多くなったりして傑作は生まれにくいと言う定石を覆した非常に面白い作品。この作品を読めば誰でもロードレースのファンになってしまうのではないかと言うくらいこの競技の魅力が詰め込まれている。奥深く複雑なルールを、読み終わったころには理解できているし、その説明が物語の進行を一切邪魔していないと言う構成のうまさも光る。ツール・ド・フランスをTVで見るのは昔から好きだったけど、実はあまりルールが良くわかっていなかった。今年はさらに楽しく見られそう。

ロードレースの一番の特徴はチームスポーツであると言うことだろうか。例えばマラソンであれば全員が優勝を目指して走っているわけだけど、ロードレースの場合は半分くらいだ。チームのエースを一位でゴールさせることを最大の目的にしているから、他のアシストはエースのために犠牲的献身的に走る。エースのタイヤがパンクすれば、サポートカー到着までのタイムロスを避けるためにアシストのタイヤを外して交換し散っていく姿が美しいのだ。

もちろん物語としての魅力もある。過去に起きた選手の死亡事故の裏に隠された真実を追うというのが本筋だが、そこにもロードレースの世界ならではのギミックが満載だ。騙されたと思ってぜひ読んでほしい。面白くなかったら購入代金をお返しします、って書いといたら読んでくれるかな。現在、続編である『エデン』を読んでる最中。

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映画:『トロン:レガシー』

28年ぶりの続編で、前作の主人公の息子が主役。前作未見でも問題ない。前作の主人公が息子を残し突然失踪。20年後、息子の元にメールが届く。電子の世界に入り込み抜け出せなくなった父親を助け出すと言うお話。複雑な伏線は一切なくディズニーらしい誰でも楽しめるつくり。

電子の世界が舞台なので、その世界がどういったルールで成り立っているかが製作側の自由に設定でき、物語進行上のご都合主義になっていてイマイチ納得できない部分が多い。見ている間「120分もず~っと何言ってんの??」って思ってました。この映画はむしろ映像を楽しむという一点にのみ価値が存在すると考えたほうが楽しめる。メガネの有無に関わらず作中で電子の世界に入ったときのみ3D映像へと切り替わる。3D効果を物語と連動させて演出しているわけだけど、3D技術の必然性をはじめて感じた作品でもある。ただし「映像革命」と大げさに宣伝するほどではないと思う。

特筆すべきは電子世界のビジュアルイメージのかっこよさ。

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映画:『ノルウェイの森』

言わずと知れた村上春樹の代表作。恋人を失った直子は、その恋人と共に自身の親友でもあるワタナベと恋仲になる。しかしワタナベの前に奔放で爛漫な少女・緑が現れワタナベの心がゆれる。

あらずじを書いただけでは一切魅力が伝わらないこの作品だけど、だからこそ人物描写や情景描写の秀逸さが文学的に評価されたのかなぁ、と思いました。ちなみに原作未読です。

物語は淡々と進むが、緑が現れた途端に映画がきらめきだして話が転がって面白くなる。この緑役の水原希子はこれが役者デビュー。多少言い澱んでいる箇所はあるけど、それは外国人監督であることを考慮すると問題ないレベル。むしろ新人らしい堂々とした演技に好感が持てる。いい女優さんになるといいなぁ。ちなみにものすごくきれいな人です。今、一番好きな女優さん。

この映画の見所の一つは直子の独白のシーンらしい。草原を永遠に歩きながらのシーンは日本中のカメラ用レールをかき集めて撮影したらしいが、それでも足りなかったのか、同じところを1往復半するのは画的に単調で演出としてはあまりうまくないなぁ。動きに変化を付ける工夫はしているけど、私の目はごまかせません。良い映画だけどね。

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おしまい。

#本の話

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