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人間は何で変わっちまうんだろうなぁ

修正液と間違えて目薬をひたすら図面に塗りたくっていたかと思えば、洗剤と間違えてコンタクトの保存液でひたすら皿を洗っていた、でお馴染みの、あ、どうも僕です。 お盆休み明けから休みなく働いてると、そんな奇行の数々もやむを得ないですね。そんなワケで、楽しかったお盆休みも終わって仕事に忙殺されてるワケだけど、今日も仕事だった。いったいいつ休めるんだろうか。 まぁいいか。そのうち10連休くらい取ってやる。ふぅ・・・。 ブログで映画のことばっか書いてるからか、最近オススメ映画をよく聞かれる。特に今月はお盆休みに映画を見ようって人が多かったのか、ホントいろんな人にオススメ映画を聞かれた。映画をあまり観なかったり、興味がなかったりするのは、単にいい映画に出会ってないからだっていうのが持論の僕としては、その人の映画人生を左右しかねないこの選定作業をけっこう真剣に考えてやっている。 その甲斐あってか今のところ好評のようでハズレはないらしい。喜ばしいことだ。ちなみに僕がオススメするのは、人に紹介されないと出会う機会すらないんじゃないかっていうマイナーなものが多い。 というワケで夏のオススメ映画とDVDを1本ずつ紹介。 まずは『深呼吸の必要』。 もうDVDになってる。

香里奈 、谷原章介 、成宮寛貴 、金子さやか 、長澤まさみなど、いまやテレビや映画で活躍している人たちが今ほど有名になる前に撮られた映画で、そういった意味ではこの監督は若い役者の将来性を見据える確かな目を持っているのかもしれない。 沖縄のサトウキビ農家では毎年、収穫期になると全国から住み込みでサトウキビを刈るためのアルバイトを募集する。彼らのことを現地では「キビ狩り隊」と言うらしい。この映画に出てくるキビ狩り隊は それぞれ「何か」を抱えて参加している。その「何か」を明かすタイミングが絶妙で多くを語らず・語らせずに彼らを受け入れる沖縄の環境もまた美しいと思える。 この映画。特に何も起こりません。基本的にはキビを刈るだけ。 ザクザクザク・・・ 雲が流れていくのをただただ眺めているのが心地良いと感じる人にとってはこの映画を受け入れられると思う。 この映画を最近見直したんだけど大きな発見があった。役者として頭打ちかと囁かれている長澤まさみだけど、この映画では台詞が少ししかないにもかかわらずその存在感は健在で、彼女の場合、脚本と演出、配役次第だってことが良くわかった。 舞台劇のような大げさな話の展開や稚拙な演出には目を覆いたくなるし、それぞれが抱えている「何か」があまりにもステレオタイプなのはご愛嬌だけど、優しさに溢れた作品だと思う。 この夏になにかをやろうとしたけど出来なかった人、何かしたかったけどこのままじゃ駄目だってわかってるけど自分が何をしたらいいのか迷っている人に、明確な答えは教えてくれないけどポジティブな気持ちにさせてくれることは確かだと思う。 なんくるないさ~ そして現在公開中でオススメなのが アニメ映画『河童のクゥと夏休み』。

アニメは子供のものと決めつけていると、いくつもの良作を見逃すことになるって言ういい例。特にアニメやマンガの文化が成熟していて、技術も環境も市場も世界トップレベルの日本においてはなおさらのことである。 この夏はいろいろ映画を見たけどこの映画がダントツ。ちなみに他にどんなのを観たのかというと・・・ 『トランスフォーマー』  久しぶりにブロックバスターを観たからか  けっこうテンション上がった。 『天然コケッコー』  10年前の漫画が原作で夏帆初主演映画。  すごくいい映画。 『夕凪の街 桜の国』  そのうち日記で書きます。 『キサラギ』  今年の映画トップ3に入る傑作。  最近のオススメに挙げることが多い。 『シッコ』  マイケル・ムーア監督の最新作にして最高傑作。 『キャプテン』  ちばあきおの傑作漫画が原作。20点くらい。 『サイドカーに犬』  竹内結子の主演映画の中では最高作品。  この「ヨーコさん」に憧れる人も多いかも。 『きみにしか聞こえない』  8月7日のブログで書いたから割愛。 こんなもんだったかな。とにかくまぁ僕が観た中では『河童のクゥと夏休み』がよかった。この映画は構成する様々な要素の設定の仕方が特徴的だ。 河童:創りこまれた造形。ほんのり気持ち悪い。 人物:ややヘタウマ調でだらしない印象の造形。 背景:昨今のアニメ映画の平均的な描き込み 自然:超写実的 一見バラバラに思えるこれらの要素を融合させてしまう辺り、この監督の優れた構成力・バランス感覚を感じさせる。 夏休み前のある日、康一が学校帰りに拾った石を洗っていると河童の子どもが現れ、その泣き声から「クゥ」と名づけられる。始めは驚いていた家族も、人間と同じ言葉を話すクゥを受け入れ家族の一員として暮らし始める。やがてクゥと康一は仲間の河童を探すべく、河童伝説の残る遠野へ旅に出る。 一見、河童を取り巻く一家族のほのぼのムービーかと思いきや、これは明らかに人間のある行動心理を痛烈に批判する社会性・メッセージ性の強い映画だ。自分もそんな人間の一人なのかと思うと 胸が痛い。 そういえばこの痛みに似た経験を過去に2度ほどしたことがある。1度目は小学生の頃だったと思うけど、報道特集のような番組で北極だか南極だかの密猟のスクープだった。アザラシの牙と毛皮を狙った密猟者を空撮で捕らえた映像だったんだけど、アザラシはその生態系内に天敵がいないから 警戒心を持っていない。だから密猟者が着氷して氷の上に降り立つと嬉しそうに近寄っていく。そこへ躊躇いもなく、先に鋭利な突起物のついた棒をその後頭部へ振り下ろしたのだ。 真っ白な氷上が見るみるうちに赤く染まっていく映像を観たときに、人間と言うものはここまで残忍になれる生き物なんだと知った。 2度目は大学院生の時。修士論文の研究目的でドイツに行ったときに、ベルリンの壁にかけられた一枚の写真を見たときだった。ナチス政権下のドイツ人の一軍人が、ひざまづく数人のユダヤ人の頭部に銃口を突きつけ笑っている写真だった。このユダヤ人たちはその数秒後に確実に殺されている。このとき、人間は笑いながら人を殺せることを知った。 心の中は乾燥して吹けば飛ぶような灰になったようでなんだか居た堪れない気持ちになった。これは別に、この映画を観ていて思い出したワケじゃなくて、このブログを書いてて思い出しただけだ。この映画はそんな人間の極端な負の感情を曝け出すような内容じゃなくて、もっと日常的で身近な部分を批判してる。だけど日常的で身近だからこそ心が痛むのだ。 康一一家も一瞬、批判の対象側に周るんだけど、その過ちに気付くのに払った代償はあまりにも大きすぎた・・・。そして一番傷ついているはずのクゥが純粋無邪気で義理堅いからその姿に感動する。 最初は気持ち悪いと思ってたクゥが、このときには可愛く思えてきて完全に感情移入してるから余計に感動するって言う仕組みだ。 この手法はティム・バートンが得意としている。 周りには子供連れのお客さんがいっぱいいたけど、監督が狙っている客層は絶対にそこじゃない。映像を読み取る感性を持った大人のための映画だと思う。その意思表示は冒頭のワンシーンで突きつけられる。だけど最後には、みんなをホッとさせる措置が取られていて、すがすがしい気持ちで映画館をあとにできる素晴らしい映画だ。


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