

『安藤忠雄展 ―挑戦―』
写真家の友人に誘われ、原寸大「光の教会」の再現が話題になっている国立新美術館10周年記念----安藤忠雄展へ。 大学の最初の課題が安藤氏の代表作『住吉の長屋』の手書きトレース(図面を書き写すこと)でした。建築の「け」の字もわからなかった当時、限りなくシンプルな手順と操作で、大胆でダイナミックな空間を生み出していることに度肝を抜かれ、建築の無限の可能性に一端でも触れたような気がしたのを覚えています。学生の頃に同じような経験をしている建築関係者はかなり多いのではないかと思います。私は今でも各部の寸法を思い出すことができます(これを読んでいる大学の友人は頷いているはず!!)。 「建築を設計する人」として広く知られている安藤氏ですが、環境づくりと建築の設計を同義的にとらえている氏は、10を超える植樹活動にも携わっています。工学としての建築ではなく、環境学としての建築を学んだ私は、その主張を何の抵抗もなく受け入れることができます。私が大学で師事した内井昭蔵氏が同じ主張をされていたことも大きく影響しています。私が、自分で設計した建築に使用された木材と同等量の


旧 山本条太郎別荘
先日、『旧 山本条太郎別荘』の特別公開に行ってきました。 鎌倉には関東大震災以前の建物は寺社仏閣を除いては非常に少なく 多くの建物は被災、倒壊、破損し建て替えられている。 たとえ倒壊を免れたとしても、その後100年近くを経て、木造家屋の耐用年数を超えている。 そのような状況の中、震災をくぐり抜けた点で貴重な建築であり この建物が別荘建築の至宝といわれる所以である。 『旧 山本条太郎別荘』は大正7年に建設されたとされている。 敷地面積は約5000坪、延べ床面積は約150坪と広大であり 標高約40mの高台に立地している。 したがって茶室や広間からは長谷の街並みや海岸線が見下ろせ 眺望に恵まれている。 私室と客室でディテールを変える細かい気配りや 広間の照明に籐で編んだバッタのオブジェを配した遊び心 巨大な沓脱石や踏石、宙に浮いたように見える蹲が置かれた邸園など 見どころはたくさんある。 中でも敷地奥にある茶室は素晴らしかった。 敷地形状に合わせて半階上がった部分に躙り口があり 外界と切り離された独立した空間が築かれている。 庭に降りると東屋があり庭を


袖ケ浦の家_01
2017年11月11日、【袖ケ浦の家】の地鎮祭が執り行われました。 東京湾を挟んだ向こう側、しかも現在お住いの外房から、わざわざ私を見つけてくださり 家づくりのパートナーとして選んでいただきました。 昨年の夏、初めてご夫妻にお会いした時に、ご主人から 「なぜ多くの人は一生懸命稼いだ大切なお金をハウスメーカーの家を買うために使うのか」と 同業者であれば誰もが思う、しかしそうでない人にとっては 疑問とも思わない疑問をぶつけられたことを今でもはっきりと覚えています。 ちなみに答えは未だにわかりません。 そんな鋭い視点をお持ちの方なので、どのような家に住みたいか どのような生活がしたいかというビジョンがとても明確だったので プランの大枠は割とすんなり決まりました。 無事に地鎮祭が迎えられたことにホッとする一方、監理者として緊張感も増してくるので 気が抜けません。 どんな家が建つのかは追い追い触れていこうと思います。