

暫定一位、更新
白血病のケイトが生きられる唯一の方法は臓器移植。しかし適合者が現れるのを待つほどの余裕は無い。遺伝子操作によって“適合者”としてこの世に生を受けた妹のアナは、その瞬間から臍帯血やリンパ液などの提供を行ってきた。
ある日アナはケイトへの臓器提供を拒否し両親を相手に訴訟を起こす。
アナの臓器提供を受けなければ死んでしまうのにもかかわらず、ケイトはこれまでどおりアナと接する。一方、自身の提供拒否によってケイトの死を決定付けることになるアナもこれまでどおりケイトと接する。
なぜか。
誰もが経験するような状況ではないのに全ての登場人物に共感できるのは、そこに家族の強い絆が描かれているからではないだろうか。一見重くなりそうなテーマをユーモアを交えつつ明るく描く。これまで演技力とは無縁の役が多かったキャメロン・ディアスの演技も良い。 『私の中のあなた』

暫定一位
ワタシハ ウソヲ ツキマシタ
ココロヲモッタノデ ウソヲ ツキマシタ
『誰も知らない』や『ワンダフルライフ』でおなじみの是枝裕和 監督の最新作。空気人形、いわゆるラブドールが心を持ってしまうというお話。心を持ってしまった人形と心を失った人間。一体どっちが幸せなんだろうか。
最後の展開が急すぎて着地点がいまいち理解できなかったけど、それを差し引いても今のところ
今年見た映画の中で暫定一位です。この空気人形の役をこなせる俳優が日本人の中にいるかと考えてみたけれど、まったく思いつかなかった。たぶんいないのではないだろうか。邦画界は、特に演技に関しては韓国に大きく水をあけられているようです。 『空気人形』


さまよう・・・
妻を亡くし男手一つで育ててきた愛娘を鬼畜ともいうべき少年に陵辱されたその父親。少年法の壁に護られた少年たちに何とか一矢を酬いるために奔走する。
この主人公の父親も警察も常識から逸脱した行動を取るのだが、そこに必然性と説得力を持たせてしまうのが原作者・東野圭吾のすごいところ。東野作品の中では決して飛びぬけたものではないけれど、相変わらず完成度は高いし社会性をもった考えさせる内容ではあった。
しかし映画のほうはまったくダメ。人間が描けてないから父親の怒りも警察の迷いも少年の残虐性も伝わってこない。全ての展開がご都合主義で登場人物の行動原理に疑問ばかりが残る。
映画と原作どちらか一方を選ぶなら後者。両方ならまずは原作から。
さまよったのは刃ではなく観客。 『さまよう刃』
原作・東野圭吾


オスカー女優の共演
①行きずりの男とばかり関係を持ってしまう高級レストランのマネージャー
②家族を省みずに荒野のトレーラーハウスで不倫を続ける主婦
③その不倫を続ける主婦の娘
この三つの話が同時に進んでゆく。
監督は「21グラム」や「バベル」の脚本家ギジェルモ・アリアガ。本業が脚本家だから練りに練られている。三つの話がどう関係しているのか。最後に謎は一気に氷解する。
それにしても最近の配給会社の邦題の付け方はセンスのカケラも感じられないものが多くて困る。 『あの日、欲望の大地で』