

河童の旅行記
友人がぜひ読んでみてほしいと言って、わざわざ買ってきてくれた本。小説『少年H』で知られる舞台美術出身の作家・妹尾河童の「覗いた」シリーズ・ヨーロッパ編。
気になった建物・風景・車掌さんの制服、泊まった全ての部屋をスケッチし、その国の文化や歴史、気候風土などによる特徴をうかがい知る。
22ヶ国、115室。擬似旅行をした気分。 『河童が覗いたヨーロッパ 』


支え役
刑務官の苦悩を描いた人間ドラマ。刑務官は時に死刑執行命令を受け、その場に立ち会わなければならない。執行にはいくつかの役割があり、その中で最も重い役割である「支え役」を担った者には一週間の休暇が与えられる。
結婚を控えた平井は有給休暇を使い果たし、新婚旅行に行けずにいた。しかし「支え役」を引き受ければ休暇がもらえる。
どうしたものか。
人の死に関わった人間が、はたして誰かを幸せにできるのかといった葛藤が描かれている。この「支え役」という言葉。ただ単に執行役のひとつを指しているのではなく、誰かの人生を支えると言った意味も含まれているようでとても奥が深い。決して晴々とした気分で映画館を後にできるような作品ではない。
しかし多くを考えずにはいられない傑作であることは間違いない。 『休暇』