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返事はいらない

1: 私の一生は10~15年くらいしかありません ほんのわずかな時間でも貴方と離れていることは辛いのです 私のことを買う(飼う)前にどうかそのことを考えて下さい。 2: 「貴方が私に望んでいること」を 私が理解できるようになるまで時間を与えてください。 3: 私を信頼して下さい...それだけで私は幸せなのです。 4: 私を長時間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないで下さい 貴方には仕事や楽しみがありますし、友達だっているでしょう でも...私には貴方だけしかいないのです。 5: 時には私に話しかけて下さい たとえ貴方の言葉を理解できなくても、 私に話しかけている貴方のその声を聞けば わかるのです。 6: 私のことをいつもどんな風に扱っているか 考えてみてください。 あなたがしてくれたことを 私は決して忘れません。 7: 私を叩く前に思い出して下さい 私には貴方の手の骨を簡単に噛み砕くことができる歯があるけれど 私は貴方を噛まないように決めている事を。 8: 言うことをきかない、頑固だ、怠け者だとしかる前に 私がそうなる原因が何かないかと 貴方自身に問い掛けてみて下さい。 ちゃんとした食事をさせてもらっていたでしょうか。 太陽が照り付けている中 長い間放って置かれたことはなかったでしょうか。 老いた私の心臓が弱っているせいで 動けないのかもしれません。 9: 私が年をとってもどうか世話をして下さい 貴方も同じように年をとるのです。 10: 最期の旅立ちの時には、そばにいて私を見送って下さい 「見ているのが辛いから」とか 「私の居ないところで逝かせてあげて」なんて 言わないで欲しいのです 。 貴方が側にいてくれるだけで、 私にはどんなことでも安らかに受け入れられます そしてどうか忘れないでください。 私がいつまでもあなたを愛しているということを。 いわゆる『犬の十戒』というヤツです。犬の躾をする前に、芸を教える前に、犬が家族であると言うのならまずは「犬の人権」を認めることを謳っています。

犬を飼うことは人間のエゴです。エゴだから必ず幸せにしてあげなければいけません。 僕は生まれて物心ついたときから実家に犬がいました。「クロ」という名の雑種で手のひらに乗るくらいの大きさの頃に両親が貰い受け育てていたそうです。丸まってるシッポを伸ばすと、またゆっくりと戻っていくのでそれが面白くて何度もやってると親にいつも怒られていたのを覚えています。 クロは僕らの残り物を食べていました。人間の食べ物のほとんどは犬にとってはよくないものだということを我々は知りませんでした。 クロはいつも庭にいました。誰かが散歩に連れて行っていたという記憶はありません。今思うと僕ら3人の子供の世話に手一杯でクロにまで両親の手が回らなかったのかなと想像できます。僕らのしわ寄せがクロに行っていたことを思うと申し訳ない気持ちになります。 だからクロはたまに脱走します。外の世界がどうなっているのか気になって仕方がなかったのだと思います。この広い世界で自分の庭しか知らずに生活することに不満があったのでしょう。 クロはフィラリアにかかりました。今では予防接種することが一般的ですが、当時はそんな病気知りませんでした。今のようなペットブームでもなかったから情報も限られていました。 最後の数週間は学校から帰ると日が暮れるまでクロのそばにいました。 最期の瞬間のことはよく覚えていません。 それから何年かして、母のお友達の獣医さんから犬をもらってくれないかと電話がありました。 シェットランドシープドッグのシェリーちゃんは子供の頃から手足が太く、案の定、平均体重よりも大きく成長しました。

シェリーちゃんは午後4時になると訴えかけるような目で見つめてきます。そして食事を与えるとガッツキます。 午後6時になると鼻を鳴らします。リードを持つと浮き足立って付いてきます。 散歩を終えるとストーブの前で寝ます。だからシッポがチリチリに焦げています。本人は熱くないようです。 夜は布団の上に乗っかって来ます。ふかふかで気持ち良いんだと思います。でもそうすると僕が寝れなくなるので隣で寝てもらいます。朝になると入れ替わっていたりします。 歳をとると、お腹に水がたまる病気にかかりました。お腹の水が熱をもつらしく、体温を下げる為に水分ばかりと摂っていたように思います。手術をしても再発の可能性が高いとかで、悩みましたが結局手術はしませんでした。完治の可能性が低いのに老体にメスを入れることが果たして彼女にとって幸せなことなのかと思ったからです。 僕は大学のために実家を離れていたので、その時に立ち会うことはできなかったけど、家族に見守られながら息を引き取ったそうです。 それからまた数年後。ケータイに一通のメールが来ました。画像つきで。 「これからこの家でお世話になることになりました。名前はまだないけど、よろしくね。」

母親からでした。 なんでも、ホームセンターに行ったときに男前がいたから連れて帰ってきた、と言うことらしいです。 次に実家に帰ったときには「カイ」という名前が付いていました。こちらもシェットランドシープドッグです。 カイ君は小さいです。シェリーちゃんが大きかったから尚更そう思います。 犬というものは散歩と食事を心から楽しみにしているものだと思っていましたが、カイ君は一筋縄ではいきません。

まず食事には興味がありません。お皿にドライフードを入れても素通りします。そのうち思い出したようにお皿に向かいますが、食べることに集中していないので、口にエサを含んだままウロウロします。 結果、誰かがエサを拾って回ることになります。 そして散歩が嫌いです。家から出るのが怖いみたいです。途中で座り込んでしまうので、そういう時は抱きかかえてあげます。これでは誰の散歩かわかりません。 「笑点」の音楽が始まると耳を傾けて聞き入ります。ビクターのシンボルマークの犬に憧れているのかも知れません。ビクター犬と見紛うほどの完コピぶりです。 夜は食洗機と戦います。動き出す音が聞こえるとしばらく間、猫パンチならぬ犬パンチを繰り出します。基本的にはジャブとクロスのコンビネーションです。 そのうちお気に入りのおもちゃを持ってきて一緒に遊ぶことを強要します。「ちょーだい ちょーだい」と言いながら逃げるカイ君を追いかけます 僕奪う。そして投げる。 カイ君おもちゃ取り行く。 また奪う。引っ張り合う。投げる。 をエンドレスに何年もやってます。 喜ぶポイントをおさえながら、こちらも本気風にやらないとカイ君は見抜くのでテンションMAXでやります。 なかなか戻ってこないと思ったら夢の中だったりします。カイ君の寝顔を見て心から愛しいとニヤニヤしています。

ペットや家族、大切な人の寝顔を見ていると感じることが多くあって、気持ち良さそうに寝ているなとか、しんどいのかなとか、何か悩みがあるのかなとか、目を合わせていない無防備なときこそ相手の気持ちを深く感じられることもあるのだなと思います。 あなたは言葉に出して何も言いませんが、僕はあなたを幸せにしてあげられているでしょうか。その寝顔が答えだと解釈しますがよろしいでしょうか。 わかっています。 返事はいらない。


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